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講談社Kiss誌10月号が発売になりました!

こんにちは!しちまるです。暑い8月も残すところ1週間になりました。天意予報では暑さのピークは過ぎましたと言っていましたが、本当なのでしょうか。本当だったらいいですね〜。暑さ寒さも彼岸まで、もうちょっとの我慢です。

8月23日(金)に講談社Kiss誌10月号が発売になりました。表紙を飾るのは我らが二ノ宮知子先生の「七つ屋志のぶの宝石匣」です!やったー!そういえば、1986年に英国王室のダイアナ妃が来日された時も赤玉のワンピースだったなぁ。

第91話の扉もカラー!イケメン顕ちゃんの眼差しの先にはイースターエッグ。

ストーリーは前回から引き続き、バズル王国第5王子とのローマの休日ならぬ浅草の休日。志のぶと顕はダイアの謎に近づくことができるのでしょうか。詳しくはご購入の上、読んでみてくださいませませ。

世界では戦争が続いています。漫画の紹介をします。

漫画紹介『石の花』――坂口尚が描く戦争と人間の尊厳

著者: 坂口 尚

連載: 1983年3月号~1986年8月号(コミックトム、潮出版社)

刊行: 2022年、KADOKAWAより6度目の刊行

 

衝撃的な出会い――忘れられない一冊

 

初めて『石の花』を手に取ったのは中学校の図書室でした。『はだしのゲン』『手塚治虫漫画全集』に並んで、坂口尚先生のこの作品がひっそりと置かれていました。その静かな佇まいとは裏腹に、読んだ瞬間、私は収容所のシーンに強烈な衝撃を受けました。「人は人に対してここまで酷いことができるのか?」と考えさせられ、気分が悪くなるほどのインパクトを受けたのです。

 

この衝撃は、生涯忘れられないものです。『はだしのゲン』の被爆者の姿や、『きりひと讃歌』の人間天ぷらのシーンと同様に、今でも鮮明に思い出せる光景が脳裏に焼き付いています。それはある意味、何かを伝えようとする漫画にとって最高の賛辞かもしれません。

 

読むべき理由――人間の尊厳と戦争の教訓

 

『石の花』、そして『はだしのゲン』や『きりひと讃歌』に共通するテーマは、「人間の尊厳」です。これらの作品は、極限状態に置かれた人々がどのようにして人間らしさを失わずに生き抜くのか、また、その過程で何を失っていくのかを描いています。決して楽しい読み物ではないこれらの作品ですが、そこに描かれる人間の強さと弱さ、尊厳を守るための闘いは、現代に生きる私たちにも重要な教訓を与えてくれるのです。

 

戦争や差別、そして人間の残酷さについて考えさせられるこれらの作品は、時代を超えて読み継がれるべき作品です。私たち自身がどのように生きるべきか、これらの物語を通じて改めて問いかけられることでしょう。

 

作品の舞台――複雑な歴史を抱えたユーゴスラビア

 

『石の花』の物語は、1941年、ナチス・ドイツの侵攻を受けたユーゴスラビアを舞台に展開されます。ユーゴスラビアは、20世紀に存在したバルカン半島の国家で、多様な民族と文化が共存していました。1918年にセルビア王国を中心に誕生した「ユーゴスラビア王国」は、「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家」と称されるほど複雑な構成を持っていました。

 

あらすじ――戦争の中で揺れる人間の尊厳

 

内部での統一が難しく、民族間対立が絶えないこの国を舞台に、少年クリロの物語が始まります。彼は、親しい友人たちを失い、平穏だった日常が戦火に飲み込まれる中、パルチザン部隊に加わることを決意します。

 

クリロは、ナチス・ドイツやその協力者であるクロアチアの超国家主義的政権「ウスタシャ」、およびファシスト勢力に対抗するために戦うゲリラ部隊「パルチザン」に加わり、戦争の残酷さに直面します。彼は戦場での非道な行為や民族間の憎悪に苦しみながら、友情や愛情を育みつつ、人間としての尊厳を守るための苦闘に巻き込まれていきます。

 

一方、クリロの兄イヴァンは、ドイツ人との混血という出生の秘密を抱えながら、二重スパイとしてナチス内部で生き抜く道を選びます。彼はナチスの内情を探る一方で、内心の葛藤と戦い続けます。

 

また、クリロの大切な存在である少女フィーも、戦争の混乱の中で試練に立ち向かいます。彼女はファシスト勢力に捕らえられ、収容所に入れられてしまいます。過酷な現実が彼女を待ち受けており、彼女自身がどのようにして尊厳を守るかが問われるのです。それでも彼女は、自らの信念を守り抜き、周囲の人々を助けようと奮闘し続けます。

 

物語は、クリロとイヴァンの兄弟、そしてフィーが異なる立場で戦争に立ち向かいながらも、互いの存在が心の支えとなる様子を描いています。ユーゴスラビア内部での民族間対立も大きなテーマとして描かれており、セルビア人主体の「王党派(チェトニク)」と共産主義者による「パルチザン」の対立、さらにウスタシャ政権によるユダヤ人やセルビア人に対する苛烈な「民族浄化」の悲劇が絡み合い、戦争の中で人間の尊厳が問われる場面が続きます。

 

クリロは、この混乱の中で、失われたものを取り戻すために何ができるのか、そして自身の信念を守り抜くことができるのかを模索しながら戦い続けます。

 

結び――戦争の記憶を風化させないために

 

かつて、8月といえば太平洋戦争をテーマにした特集やドラマが数多く放送されていました。しかし、近年ではそうした番組が少なくなり、戦争というテーマが私たちの日常から少しずつ遠ざかっているように感じます。しかし、世界に目を向ければ、今もなお戦争が続いています。

こうした時代だからこそ、『石の花』のような作品を通じて、戦争の悲惨さや人間の尊厳について改めて考えることが重要です。時代を超えて読み継がれるべきこの作品を、ぜひ手に取ってみてください。

絶版になっていた『石の花』の再刊行や、通常なら漫画化されることのないような重いテーマの『戦争は女の顔をしていない』漫画版(原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ、作画:小梅けいと、監修:速水螺旋人)を刊行したKADOKAWAには深い敬意を表します。

講談社Kiss誌に好評連載中、はんざき朝未先生の「無能の鷹」の映像化が発表されました。主人公の鷹野ツメ子を菜々緒さんが演じます。10月からテレビ朝日系列で放送です。連載当初、あまりの展開に目が離せなかった「無能の鷹」、ドラマにも期待です。

と、ここまで書いて次号Kiss誌11月号で「無能の鷹」は堂々の完結を迎えます。なんということでしょう。残念ですが、最後までみんなで見届けたいですね。がんばれ〜!

では、また〜!