こんにちは、しちまるです!
もうすぐ3月というのに、寒い日々が続いていますね。関東は晴れが続いている一方、雪国では豪雪で大変な様子。スキー場によっては、安全が確保できないため臨時休業となっているところもあるそうです。雪が降らなさすぎても、降りすぎても問題となる―その塩梅はなかなか難しいものですね。
さて、2月25日(火)に講談社Kiss誌4月号が発売されました。先月は休載していた我らが二ノ宮知子先生の『七つ屋志のぶの宝石匣』も堂々と掲載されています!
∩(・ω・)∩ばんじゃーい

武蔵野うどんが登場!?『七つ屋志のぶの宝石匣』
最近、食に関する話題が増え、読み応えのある『七つ屋志のぶの宝石匣』ですが、今回はなんと「武蔵野うどん」です。作中で志のぶは「さすが、香川に次いで生産量全国2位の隠れたうどん県、埼玉!」と発言していますが、銀座生まれ・銀座育ちの彼女のセリフとしてはやや違和感があります……もしかすると、地元埼玉をこよなく愛する二ノ宮先生の心の叫びかもしれませんね。
「武蔵野うどん」とは、東京の多摩地方から埼玉県西部にかけての武蔵野台地で昔から食べられているうどんの総称です。武蔵野台地は水資源に乏しかったため、水稲よりも小麦の生産が盛んであったことから、うどんが名産となったそうです。最近では、グルメ漫画やエッセイ漫画でも取り上げられることが増えているようです。
サイクリングと「武蔵野うどん」
また、グルメ漫画以外だと、折り畳み自転車というニッチな分野を扱った漫画として、2019年から2021年にかけて『別冊マガジン』で連載された『おりたたぶ』(こんきち・講談社)の第2話が挙げられます。そこでは、主人公たちがサイクリングの途中に美味しそうな「武蔵野うどん」を楽しむシーンが印象的。『おりたたぶ』の舞台は多摩湖周辺、まさに武蔵野台地の中心地とも言える場所です。玉川上水や多摩湖自転車道を走り回るシーンもとても楽しく、折り畳み自転車もいいなと思いました。もしご興味があればぜひご一読ください。
ちなみに、私もこの漫画に影響を受け、多摩湖自転車道を経由して飯能まで自転車で行った経験があります。帰路は飯能市から山を越えて青梅市へ下るルートだったため、とてもきつかった記憶があります。自転車のロングライドは、計画的に行いましょうね!
ところで最近、もう一つ気になるニュースがあります
ローマ教皇のフランシスコ猊下が肺炎になったという報道を受け、ローマ教皇に関する漫画を紹介いたします。
教皇選と歴史の奔流──『チェーザレ 破壊の創造者』が描く権力と野心のドラマ
ローマ教皇フランシスコの健康が注目されるなか、教皇選挙(コンクラーベ)への関心も高まっています。信仰だけでなく、複雑な政治的駆け引きが絡むこの選挙。その緊迫感を、徹底した歴史考証と美麗な作画で描いたのが、惣領冬実先生の『チェーザレ 破壊の創造者』(講談社)です。
若きチェーザレとルネサンスの光と影
後に軍事と政治の両面で名を馳せるチェーザレ・ボルジアですが、本作では若き日の姿が描かれます。ロドリーゴ・ボルジア枢機卿(後のアレクサンデル6世)の庶子として葛藤しながらも、ピサ大学で学び、多くの知識人と交流する青年。知性と野心を兼ね備えながらも、理想と現実の狭間で揺れるその姿は、後の冷徹な軍略家の片鱗を感じさせます。実在のチェーザレは、ルネサンス期の政治思想家マキャヴェッリにも影響を与えました。『君主論』では「理想の君主」のモデルとされ、目的のためには冷徹な決断も辞さない統治者の姿が描かれています。
1492年──教皇選挙という名の権力闘争
本作の大きな山場が、1492年のコンクラーベ。システィーナ礼拝堂で行われる神聖な儀式の裏では、金銭や密約が飛び交い、熾烈な駆け引きが繰り広げられます。
「選ばれるのは、ただ敬虔な者ではない。」
政治と信仰が交差するこの選挙で、誰が支持を集め、どの陣営が勝利を手にするのか──歴史の歯車が動く瞬間を、読者は目撃することになります。
歴史を追体験する、極上の知的エンターテインメント
しかし、教皇選が終わり、いよいよ成人したチェーザレが本格的に活躍するかと思いきや、物語は唐突に幕を閉じます。彼の死まであと15年。そのすべてをこれまでと同じ濃密な筆致で描くのは、あまりに困難との判断だったのかもしれません。
もし今後、教皇選挙が話題になったとき、「コンクラーベとは何か?」と興味を持ったなら、『チェーザレ 破壊の創造者』を読んでみてください。500年前のイタリアへとタイムスリップし、歴史の奔流に飲み込まれるような感覚を味わえるはずです。
チェーザレのその後、そしてルネサンスを別の視点から
チェーザレ・ボルジアのその後を知るなら、小説にはなりますが『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』(塩野七生・新潮文庫)が鉄板です。歴史的考察を交えて描かれ、チェーザレがどのように時代を駆け抜け、どのように最期を迎えたのかを知ることができます。
また、同じルネサンス期のイタリア都市国家を舞台にした『アルテ』(大久保圭・コアミックス)もおすすめです。『チェーザレ』が支配者側の権謀術数を描いたのに対し、『アルテ』は女性の絵描き職人という庶民の視点から社会や風俗を描写した作品で、時代考証も非常にしっかりしています。両作品を読むことで、ルネサンス期イタリアを「支配者の目線」と「庶民の目線」の両面から捉えることができ、当時の激動の時代をより多角的に理解できるでしょう。
最後に、フランシスコ猊下の一日も早い回復と、今後の健康を心よりお祈り申し上げます。
ではまた!